インタビューに答える第一生命ホールディングスの菊田徹也社長=2024年4月10日、東京都千代田区、杉山歩撮影

 第一生命ホールディングスは5月にも、企業向けの福利厚生代行を手がけるベネフィット・ワンを完全子会社にする。他社が株式公開買い付け(TOB)を提案するさなかに、「同意なき買収提案」を仕掛けて手に入れた。国内の保険市場は人口減少で縮小していくことが見込まれており、買収したベネフィット社はこれから注力する「非保険事業」の中核を担う。異例とも言える手段を選んだ背景と、成長への期待を、菊田徹也社長(59)に聞いた。

ベネフィット・ワン買収の経緯

 医療関連サイト運営会社エムスリーが昨年11月、パソナグループ傘下のベネフィット・ワンについて、両社の同意を得て1株1600円で株式公開買い付け(TOB)を開始。これに対し、第一生命ホールディングスは翌月、1株1800円以上でのTOBを実施するとした。今年2月、パソナが第一生命の提案に同意し、株主に応募を推奨。第一生命は1株2173円、約2900億円でTOBを実施し、3月に対象株式の約77%を得て成立した。

 ――今回の買収では、医療関連サイト運営会社エムスリーが先にTOBを提案していました。

 「ベネフィット社には以前から関心を持っていて、何らかの提案をしようと調査や準備をしていました。そんな中で、たまたま(エムスリーによる)アナウンスがありました」

 「以前なら、『出遅れたから…

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