投資信託「eMAXIS Slim」(イーマクシススリム、以下Slim)シリーズで、圧倒的な人気があるのは2本。世界の株式に投資する「オール・カントリー(オルカン)」と、米国の主要株価指数に連動する「米国株式(S&P500)」です。「投資はオルカンかS&P500の2択でいい」との声も広がる風潮に、ファイナンシャルプランナーのカン・チュンド氏は危機感を覚えるといいます。人気投信との向き合い方を聞きました。

  • オルカンに死角はあるのか リスク置き去りのまま「まるでバブル」

 ――三菱UFJアセットマネジメントが開発したSlimの人気をどう見ていますか。

 「Slimは、『業界最低水準の運用コストを目指す』とのコンセプトを打ち出して人気となりました。新型コロナ禍で投資を始める人が増える中、YouTubeでオルカンとS&P500の評判が広められ、一挙に知名度が上がりました。最後のダメ押しは、1月に始まった新NISA(少額投資非課税制度)でした」

 「ただ、2本の投信に投資家の選択が集中し過ぎていると感じます。良い評判が強固になりすぎて、異論を挟む余地もなくなる、一種の『バブル状態』のように見えます。新NISAを始めたいという人から、オルカンとS&P500どちらがいいですかと質問されることもしばしばで、答えに窮してしまいます」

 ――何が問題なのでしょうか。

 「投資家が、自分のリスク許…

共有