横浜美術館の展示室には、勅使河原蒼風の1960年代の木の立体も登場している
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 紛争や不平等など、地球上のさまざまな問題を、地域や歴史に根ざした等身大の視点で問い直す作品がそろった大規模国際展「第8回横浜トリエンナーレ」(朝日新聞社など主催)が、横浜美術館などで開かれている。今回は、現代美術や国際展の現状をどう捉えて企画され、どんな狙いで展示されているのか。企画を担うアーティスティック・ディレクター(AD)の言葉から探る。

 今回のADは、中国のリウ・ディンさんとキャロル・インホワ・ルーさん。2人が抱くのは、行き過ぎたグローバリゼーションの中での現代アートの危機だ。

 リウさんは「1990年代以降、国際化の中で現代アートが固定化、空洞化して生活とほど遠いものとなり、歴史とも距離を置いている。過度の普遍性を目指し、身の回りの出来事を見過ごしてきた」と話す。

 ルーさんも「特にコロナ禍で、アートは困難な現実を前に無力とみなされがちだったが、それはアート市場を重視した装飾的な作品だった」と指摘する。

 ビエンナーレ、トリエンナーレと呼ばれる国際展、芸術祭も多くが、資本に支配されている、とみる。

 リウさんは「国際展は同時代…

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