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 ジョージア駐日大使のティムラズ・レジャバさん(36)は2月末、家族で広島平和記念資料館(広島市)を訪れました。原爆で黒く焼け焦げた弁当箱を見つめる長女(当時4)の写真を、X(旧ツイッター)に投稿したところ、Xでは「子供にはまだ早いのでは。可哀想」とのコメントが寄せられました。子どもが平和や戦争について学ぶとき、残酷な事実は見せない方がいいのでしょうか? 大使に当時のことや平和教育について聞きました。

 ――家族で資料館を訪れたのは?

 初めてでした。広島市内で私の講演があり、資料館を家族と訪れることにしました。

 最初は子どもたちを連れていかない方がいいんじゃないかと思いました。あまりにも衝撃が強いので、やめた方が良いのではないかと。妻も、同じように懸念していました。

 でも、人生は楽しいことばかりじゃない。現実は、つらいことも不条理なこともある。世の中いろんな側面があることは知らないといけないと思いました。

 迷いましたが、子どもたちを育てる上で、私は楽しい時も、つらいものを見るときも、共にすることこそが教育なのではないかと考えました。資料館には、年齢制限はありません。だったら一緒に行こうと、心に決めたら、もう抵抗はなくなりました。

 ――資料館を訪れたとき、長女のリカさんはどんな様子でしたか。

 原爆が投下されたときの絵や、やけどを負った人の写真などの展示をじっと見ていました。「暗い雰囲気」なのは伝わっていたと思います。

 そして、原爆で亡くなった○○ちゃんが乗っていた三輪車、○○さんの衣服……と固有名詞がわかる、具体性が極めて強い展示室に入ったとき、黒焦げになったお弁当を無言で見つめ、立ち止まりました。

 このお弁当は、県立広島第二…

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