日本航空高校石川のグラウンドで練習する輪島高校の野球部員たち=2024年4月23日午後6時19分、石川県輪島市三井町、小崎瑶太撮影

 午後6時、照明がともった日本航空高校石川(石川県輪島市)の野球部グラウンド。薄暮のなかボールを追う球児たちに、監督の声が飛ぶ。

 「今年の夏の甲子園は2部制。ナイターになると見にくいからな」。夢舞台の「夕方の部」にたとえて部員を鼓舞する。

 練習していたのは、約10キロ北にある輪島高校(同市)の野球部員たち。春季北信越地区高校野球県大会の初戦が28日に迫る。

 輪島の部員13人は、元日の能登半島地震で練習場所を失った。

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輪島高校の野球部員が練習していたグラウンドは地震で崩落した=2024年4月25日午前9時31分、石川県輪島市稲舟町、小崎瑶太撮影

 いつも使っていたのは自校から1.5キロほど離れた閉校した高校のグラウンド。

 地震で右翼側が崩壊し、深さ1メートル超の亀裂が地面に走った。

 学校からグラウンドにつながる道は崖が崩れて通行止めになり、ダッシュ練習を繰り返した思い出の坂道も崩れた。

 一帯には今も避難指示が出されている。

 自校の校庭も自衛隊車両が出入りしたため凹凸が激しく、練習には使えない状態だ。

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輪島高校野球部が使っていたグラウンドへの道は、崖が崩れて通れなくなった=2024年4月25日午前10時31分、石川県輪島市塚田町、小崎瑶太撮影

みなし仮設の監督宅に部員10人泊まって

 今春の選抜大会出場校、日本…

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