四海吏渡選手はパラ卓球で初出場となる国際大会を戦うため、新しいプレースタイルを作ろうとしている=2024年4月18日午後3時15分、大阪市港区、岡田健撮影
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 将来を期待された少年は、大けがで一度スポーツをあきらめた。でも「消去法」で選んだ競技が運命を変えた。19歳は再び世界を目指す。

 四海(しかい)吏渡(りいと)選手=兵庫県姫路市=は昨年11月、東京であったパラ卓球全日本選手権のクラス1(車いすで障害が一番重い)で優勝。本格的に競技を始めて半年ほどでの日本一だった。

 相手を見て、返球が難しい場所に球を正確に打ち込む技術がさえた。全日本選手権で勝ち抜くために磨いてきたという。優勝したことで、国際大会に派遣される日本代表候補選手に初めて選ばれた。所属チーム「Fantasista(ファンタジスタ)」代表の松尾充浩選手(46)は言う。「最初から空間認識能力が高かった。世界一を目指せる」。四海選手は腹筋や背筋の感覚、握力がない。ゴム製のバンドを使い、ラケットを左手に固定する。

 その状況で球の動きや位置を…

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