自死事案について説明する横浜市教委の住田剛一・人権健康教育部長(中央)ら=2024年4月24日、横浜市中区、増田勇介撮影

 4年前の女子中学生に続いて、2年前にも横浜市立学校で同学年の生徒2人が相次いで命を絶っていたことが明らかになった。うち1件では、遺族がいじめ被害を訴えたにも関わらず、学校と市教育委員会は文部科学省のガイドラインに沿わず、学校内の「基本調査」だけで終えていた。

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 文科省が定める「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」では、「保護者が望まないことを理由として、自らの対応を検証することを怠ってはならない」としている。

 だが、この日の記者会見で市教委が理由に挙げたのは、当時の「遺族の意向」だった。

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 市教委がこれまでに市議会などで明らかにしたところでは、14~23年度に起きた児童・生徒の自殺は41件あり、このうち38件については学校側が得られた情報を整理する「基本調査」で終えていた。外部の専門家を交えた「詳細調査」に移ったのは3件だけ。基本調査だけで終わった38件については現在、県弁護士会の子どもの権利委員会に点検を依頼している。

 市教委によると、今回明らかになった同じ学校の2件のうち、1件は第三者を交えた詳細調査に移行したものの、残る1件は学校内の基本調査で終えていた。

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 市教委は基本調査で終えていた1件で、遺族側から「いじめがあった」との意向が改めて示されたとして、今後はいじめ重大事態として扱う方向で準備を進めている。

 ただ、遺族側が「いじめがあった」との意向を示した時期は「今後第三者が調査する」などとして回答を避け、2件とも「遺族の心情、プライバシーに配慮する」として詳細は説明しなかった。

41件中38件を基本調査で終了 市教委が強調したその理由は

 38件もの自死を基本調査で…

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