森正弘県議が代表を務める二つの政治団体が入る事務所(手前)=岐阜県海津市、保坂知晃撮影

 自民党の森正弘・岐阜県議(76)が代表を務める政治団体が、事務所を設置する同県海津市内の土地を知人から無償提供されているのに、免除された借地料相当額を収入として政治資金収支報告書に記載していないことが、朝日新聞の取材でわかった。森氏は「県選挙管理委員会に確認し、必要があれば収支報告書を訂正したい」と話した。

 政治資金規正法は、収入を「財産上の利益の収受」と定義する。政治団体が土地などの無償提供を受けた場合、本来支払うはずの債務が免除され、財産上の利益を収受したとみなされる。そのため、借地料相当額を見積もった上で、収支報告書に収入として記載しなければならない。

 不動産登記などによると、事務所がある海津市内の土地は岐阜県西濃地方の女性が所有している。所有地全体の広さは約2300平方メートル。平屋の事務所が土地の一角にあり、いずれも森氏が代表の政党支部「自由民主党海津市支部」と資金管理団体「森まさひろ後援会」が所在している。

 県が公表している2020~22年分の政治資金収支報告書によると、二つの政治団体の収入に借地料相当額は記載されていない。

 森氏によると、県議に初当選した05年ごろから政治団体として無償提供を受けている。借りている面積は女性所有地の3分の1程度で、土地の貸借契約は書面ではなく、口約束で結んだという。森氏は「草刈りなどの土地管理費を負担している。それが借地料に相当するという認識だ」と話した。

 土地所有者の女性は「夫の意向に従って無償提供したが、今後は土地の固定資産税分として借地料の支払いを求めたい」と話した。

 森氏は海津市選挙区の選出で当選6回。自民党県連で政調会長を務めている。(保坂知晃)

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