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 再選から1年となった吉村洋文・大阪府知事が朝日新聞のインタビューに応じた。開幕まで1年を切った大阪・関西万博に向けた意気込みや、今年度から段階的に始まった高校などの授業料の「完全無償化」などについて語った。

 ――万博の公費負担の増加が相次ぎ、開催に否定的な意見が根強い。(日本国際博覧会協会=万博協会の副会長でもある)知事は、どう理解を得ていくか

 意義を丁寧に説明していく必要があると思っている。より財務態勢を強化するため、万博協会に最高財務責任者(CFO)を設けたほか、専門家からなる第三者の監視委員会を立ち上げ、チェックする仕組みもできた。コストを厳格に管理しながら、効果を最大に引き出す万博にしたい。

 経済的なコストがあれば効果もある。府と大阪市の負担費用は約1300億円だが、府内で生じる経済波及効果は(試算で)約1.6兆円と非常に大きい。

 ――能登半島地震を受け、延期や中止を求める声も出ている

 復旧、復興は最優先事項だ。大阪からも多くの職員が被災地に入って支援している。万博と復興は二者択一ではない。被災地優先を大前提に、準備は進めていく。

 ――大阪で万博を開催する意義とは

 万博は単なる展示会ではない。未来の羅針盤をつくっていくことが重要な意義だ。社会課題を解決するため、価値観が違う約160の国・地域が集まる。多様な価値観に触れて新たな発見に気づき、子どもたちが科学者や技術者など将来なりたいと思う職業につながるかもしれない。そこに非常に大きな意味がある。

 ――高校などの授業料の「完全無償化」が段階的に始まった

 経済的な理由に関係なく、行きたい学校で学べる社会に価値がある。

 子育てで最もお金がかかるのが教育費。これからは一層、現役世代が高齢世代を支える社会になっていく。現役世代が元気にならないと高齢世代を支えるのは難しくなってくる。

 大阪では新たな借金を増やしたり、負担を求めたりするのではなく、財政改革を続けてきた成果が実って実現できた。他府県が単独で乗り出せないのは、財源の問題がある。全国一律でやるべきで、国の予算規模からすればすぐにできることだ。今後も国でやるべきだと強く要望していく。

 ――公立高では定員割れが急増するなど影響も出ている。再編対象になり、公立高が減っていくとの見方もある

 子どもの数が減っていくなか…

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