デジタルで再現した永平寺の山門。屋根裏や床下の骨組みも見える=永平寺・清水建設提供

 曹洞宗大本山・永平寺(福井県永平寺町)の建造物が、屋根裏や床下の骨組みまでデジタル技術で「見える化」された。各地で歴史的建造物が災害に巻き込まれるなか、後世に確実に姿かたちを伝えようと永平寺と清水建設(東京都)が共同で調査。25日に発表した。

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デジタルで再現した永平寺の仏殿。外観と内部が同時に見られる=永平寺・清水建設提供
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国の重要文化財に指定されている永平寺の仏殿=福井県永平寺町志比、清水建設提供

 昨年7月から約3カ月間、山門や仏殿など国指定重要文化財の19棟について、レーザーを照射して跳ね返ってくるデータを解析し、現物そっくりの「デジタルツイン」を構築。そのデータを加工し内部まで可視化した。

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デジタルで再現した永平寺の山門。外観と内部を同時に見られる=永平寺・清水建設提供
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国の重要文化財、永平寺の山門=福井県永平寺町志比、清水建設提供

 2016年の熊本地震では阿蘇神社の楼門が倒壊。19年には首里城(沖縄県)の正殿が焼失した。1244(寛元2)年に道元が開いた永平寺も、過去に8回ほど火災に見舞われたという。江戸時代からの約300年間では100年に2度のペースで大火災に遭い、直近では1879(明治12)年の火災で、再建後に重文に指定された承陽殿を含む4棟が焼失した。

 今回のデータをもとに詳細な設計図を作ることも可能といい、永平寺の担当者、石田純道さんは「建物の耐震改修など維持管理に活用したい」と話す。

 成果をまとめたパネルや動画を27日~5月6日、境内に展示する。拝観料(大人700円、小中学生300円)で鑑賞できる。(長屋護)

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