たいほ【逮捕】警察(けいさつ)が、罪(つみ)をおかした人(ひと)をつかまえること――。こんな説明をした子ども向けの辞典が、議論を呼んでいる。
4月中旬のある日。鹿児島市の自宅でくつろいでいた松比良剛弁護士(49)は耳を疑った。小学1年になったばかりの娘が、分厚い辞典を手に音読を始めた。
「たいほ、けいさつがつみをおかしたひとをつかまえること」
ちょっと待って――。
その辞典は、小学館が出版した「はじめての国語辞典」。6歳前後の子どもが対象で、1万8千語を収録している。
逮捕できるのは通常、ある人が罪を犯したと疑う状況があり、その人が逃げたり証拠を隠したりする恐れがあるときだけだ。そして検察が捜査した人のうち、起訴して裁判に至るのは全体の2割ほどしかいない。
松比良さんは娘にこう教えた。「逮捕されたといっても、必ずしも悪い人とは限らないんだよ」
これまで多くの刑事事件の弁護をしてきた。
逮捕された後、不起訴になっ…