慶応大学の井上正也教授=2024年3月、東京都港区、池田伸壹撮影
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 元首相の宮沢喜一が残した政治行動記録(日録)は、日本政治史の研究に新しい光を当てた。朝日新聞社と東京大学・御厨貴研究室の共同研究メンバーの一人である慶応大学の井上正也教授(日本政治外交史)は、宮沢が戦後政治の舞台を作ると同時に「狂言回し」の役割も果たしていたと指摘する。(構成・池田伸壹、三浦俊章)

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「狂言回し」という言葉があります。主役ではありませんが、芝居の筋の展開を解説する重要な登場人物のことです。宮沢は戦後政治という舞台をつくった政治家の一人でしたが、同時に観客に対して物語の進行を説明する「狂言回し」を務めてきました。

 その良い例が、宮沢が198…

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