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 元首相の宮沢喜一が残した政治行動記録(日録)は、日本政治史の研究に新しい光を当てた。朝日新聞社と東京大学・御厨貴研究室の共同研究メンバーである駒沢大学の村井良太教授(日本政治外交史)は、日録を手がかりに日米関係をめぐる長年の謎を解く研究を進めているという。(構成・池田伸壹、三浦俊章)

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 宮沢はリベラルな政治家と言われています。1980年代の発言を見ると、「憲法のもとに軍事大国への道を選ばずにやってきたこと」を高く評価しています。そのことを「日本民族がその運命をかけた人類史上初めての試みであった」とまで言っています。

 背景に、戦前の日本で自由が失われていったことを何よりも苦しく感じた個人的経験があることは間違いありません。

 しかし、宮沢はプラグマティ…

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