ポーランドのプシェミシル駅で2022年4月1日、ロシアの侵攻から逃れてきたウクライナ難民=ロイター
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 ロシアによるウクライナ侵攻が3年目に入りなお続く中、ウクライナの人口(約4160万人、クリミアを除く)の4分の1にあたる人々が国内外に逃れています。認定NPO法人「難民を助ける会」会長で、立教大大学院の長有紀枝教授(国際政治)は「ウクライナから避難した人たちの間で格差が広がっている」と指摘します。

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 ――国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、3月時点で約650万人が国外に逃れ、約370万人がウクライナ国内で避難しています。この数をどう見ますか。

 世界の難民情勢の中でもウクライナは大きな関心事です。最新の統計(2022年末時点)で難民の出身国で最も多かったのはシリアの約655万人ですが、次いで多かったのがウクライナの約568万人でした。アフガニスタンの約566万人がその後に続きます。

 国内避難民の数ではコロンビアとシリアがそれぞれ約680万人で最も多く、ウクライナが約590万人で続きます。ウクライナからの難民がさらに増えるかどうかは今後の戦況次第になると思います。

 ――他の国と比べて、ウクライナからの難民の流出に特徴はありますか。

 難民の流出スピードの速さは前代未聞でした。難民数はシリアの方が多いのですが、シリアでは11年の内戦勃発後、難民が600万人を超えたのは6年目でした。

 ウクライナの場合、EUの国々や隣接する各国が一斉に国境を開いたことが大きかったです。EUの国々はシリア難民を始めとする中東やアフリカからの難民受け入れに異議を唱えていましたが、ウクライナからの避難者については、旧ユーゴスラビア紛争を受けて01年に設けられた「一時的保護措置」を初めて適用し、一定期間に限って滞在許可を与えました。現在、国外に逃れたウクライナ人の9割超にあたる約600万人が欧州に避難しています。

15年にはウクライナ難民の約97%がロシアへ

 ――UNHCRはウクライナからロシアに逃れた人々を約121万人としており、避難先の国ではロシアが最も多いことになります。なぜでしょうか。

 まず、この約121万人の中…

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