写真・図版
サーロー節子さん=2023年7月29日、広島市中区、大滝哲彰撮影

 日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)のノーベル平和賞受賞決定を受けて、広島の被爆者でカナダ在住のサーロー節子さん(92)が書面でコメントを出した。

 サーローさんは「日本被団協は結成から68年間、被爆体験のつらい記憶を語り、私たち在外被爆者とともに核兵器廃絶を訴えてきました。私も広島での大学時代に大変お世話になった森滝市郎先生をはじめ、先人が苦労に苦労を重ねて被爆者援護の道を切り開いてきた団体でもあります」と祝意を表した。

 そして、「この受賞決定の一報を生きて聞くことができなかった、原爆犠牲者が数多くいます。そのような数々の死を無駄にせず、2017年の核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)と併せて今回の受賞を真に意義あるものにするには、核兵器廃絶を一刻も早く実現させるしか道はありません」と訴えた。

 そのうえで、「核保有国並びに、私の母国である被爆国日本と私が住むカナダなど核依存国は、核兵器禁止条約に今すぐ参加すべきです」と強調した。

 サーローさんは17年のノーベル平和賞授賞式でICANを代表してスピーチ。13歳の時に自身が広島で被爆した体験や、4歳のおいを亡くしたことなどに触れて「核兵器は必要悪でなく絶対悪」と訴えた。(核と人類取材センター・田井中雅人)

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