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スタンドから息子らのプレーを見守る女性=2024年7月7日、皇子山
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 「七夕に夢がかない、素敵な一日だ」

 7月7日。全国高校野球選手権滋賀大会で、応援スタンドにいた女性(42)は特別な思いでグラウンドに立つ息子の姿を追っていた。

 息子は小学5年のときに野球を始めた。それからほどなく、女性が受けた検診で思いがけない病気が見つかった。手術は成功したが、経過観察と内服治療は10年かかると医師に言われた。

 通院や内服治療の日々が始まった。野球をしている息子を直接応援することもままならなくなった。

 それでも、野球の道具を買いそろえたり、朝早くから弁当をつくったり。できるだけ不自由がないよう、心を砕いた。

 野球を続けた息子が中学を卒業するとき、手紙を贈られた。「野球の道具やお弁当いつもありがとう。僕は高校を卒業したら就職するので、あと3年間よろしくお願いします」

 息子は高校で野球をするつもりはなかった。女性は、家庭の事情を気遣ってくれている、と感じた。だから、「高校では夢や希望をもってやりたいことをして、その先も進学してほしい」と伝えて、見守ってきた。

ぽつりと「野球するわ」

 息子は甲南高校(滋賀県甲賀市)に進学した。当時の野球部の監督は、練習する息子の姿を見て「センスがある」と思った。粘り強く、野球部への勧誘を続けた。

 入学から1カ月ぐらいが経っ…

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