避難所での入所手続きのデモンストレーション。避難者(左)が持参した専用カードを機械で読み取ると個人情報が自動で入力される。市災害対策本部でも入所者一覧(後方の壁面に映し出されている画面)がリアルタイムで確認できる=2024年5月17日、宿毛市役所、羽賀和紀撮影
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 南海トラフ地震が発生した場合に大きな被害を受けると予測されている高知県宿毛(すくも)市が、災害発生時に市民がどの避難所にいるのかを一覧できるシステムを開発した。健康状態も把握でき、能登半島地震でも問題となった災害関連死を減らせるという。

 同市は、南海トラフ地震が発生した場合に震度6強の揺れに見舞われ、最大25メートルもの高さの津波が押し寄せるとされる。

 今年4月には豊後水道を震源とする地震で震度6弱を観測した。津波は来なかったものの、住民に不安が広がった。

 同市は離島を含めて市内の小学校など50カ所を避難所に指定、8770人が収容可能と見込んでいる。しかし市地域防災計画では、南海トラフ地震が発生した場合、最大で1万人を超える避難者・帰宅困難者の発生が予測され、避難所の運営に混乱をきたす可能性がある。

 そこで市は、避難所ごとの入退所を一括管理し、市役所に設置する災害対策本部などで一覧できるシステムを開発した。氏名や性別・年齢だけでなく、体調不良やけがの有無などを確認することができる。

投薬歴も、アレルギーの有無も

 開発のベースとなったのが、電子カルテや投薬歴などの医療情報を共有する「はたまるねっと」だ。

 同市と周辺5市町村を管轄す…

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