写真・図版
東洋文化研究者のアレックス・カーさん

 コロナ禍が明けて、今年のインバウンド(訪日外国人客)が過去最高となる勢いだ。オーバーツーリズムが問題視されるなか、日本は国策として「観光立国」を目指すべきなのだろうか。東洋文化研究者で、日本の地域再生に取り組むアレックス・カーさんに聞いた。

PRしなくても6千万人に

 インバウンド(訪日外国人客)は、日本経済を救うパワーを持っています。

 先進国では、これまでGDPをリードしてきた製造業が下火となり、観光業が伸びています。バブル崩壊後、経済がパッとしない日本にとって、乗り遅れてはいけない産業です。

 2003年に、当時の小泉純一郎首相が「観光立国」宣言をして、外国人旅行者を倍増させる方針を打ち出しました。それまで日本は観光を軽視していたので画期的なことでした。観光は世界でも有数の産業です。人口が増えている米国でも重視されるようになっている。観光に頼るのは貧しい国というのは幻想に過ぎません。

 日本には外国人を呼び込む要…

共有