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SVリーグのオールスターゲームで同じチームでプレーした柳田将洋(左)と西田有志=2025年1月26日、石川県かほく市、岩佐友撮影
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 昨夏のパリ・オリンピック(五輪)でメダルが期待されたバレーボール男子日本代表はベスト8で敗退した。さらに高みを目指すためには何が必要なのか。パリ五輪後に日本代表を一時休養すると発表した西田有志(24)=大阪ブルテオン=と、元日本代表の柳田将洋(32)=東京グレートベアーズ=が語り合った。

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風穴を開けた五輪

 西田 「パリ五輪は戦えていたけど、戦えていたというレベルでしかなかったのが現実でした。五輪まではすべてうまくいっていた。東京五輪後のネーションズリーグでまずベスト8に入った。23年のネーションズリーグでは3位になった。そして24年だった。そこで、こんなミスをするかみたいな。ミスというのはプレーではなくて、結果をここで出せないかという意味です」

 「全員が素晴らしかったと思いますし、スタッフ、選手間の関係性、組織もすごく良かった。でも結果は結果。そこはみんながしっかり受け止めていると思います。自分たちが夢だったものを現実にできそうになった。でも夢だったのが良くなかったですね。夢ではなく、目的に変えないと次のステップはない。その考え方なのかな」

 柳田 「僕が解説をしていて、すごく嫌な質問だったのは『今の日本は何が足りなかったんですか』。僕も聞きたいくらいだった。準々決勝のイタリア戦は勝ちかけたところから一気に雰囲気が変わって、五輪の怖さを感じました。一方で、そこに日本がいることにある種の不思議さも感じたんです。例えば米国対フランスとかロシア対ブラジルとか、そういう他の強豪国が体感しているところに西田含めて日本代表選手がいました。これよりもどうやって良いチームをつくるのかはわかりません。僕は見たことのない景色。出場した選手がフィードバックすることしかできない。たぶん本人たちが動き出した時に、設定する目標をもうひとつ先にする。その一歩を踏み出す足掛かりになるんじゃないですかとしか言えないですね」

 「ポジティブな点としては、今までVリーグも低迷期が長かった中で、一つ風穴を開けてくれました。もちろんまた低迷する可能性も危惧するんですけど、それ以上にもう一回浮き上がって、さらに高いところにたどり着く可能性を感じました。そこを信じて動くほうが明るい。そう思わせてくれたのは彼らなので、本当に感謝したい。結果自体は伴うこともあればそうじゃないこともあるんですけど、あれを見て響かなかった人はいないと思う。僕自身も見ていて感動した試合でした。アスリートって、1年1年、状態が変わりますから、じゃあロサンゼルス五輪とか、その次の五輪とかは簡単には言えないでしょう。その意味では次の世代の選手も出てこないといけません。僕とか、西田とかの系譜を次の世代につなげていく。そのためのSVリーグでもあります。もちろん興行も大事だけど、代表にいい選手が輩出するきっかけになるリーグだと思います」

 西田 「日本のバレーとしては守備では課題があるにせよ、攻撃は劣らないチームになってきました。それは今の代表で戦った選手だけではなくて、SVリーグで戦っている選手も攻撃で劣る選手は少ない。だから次はどうチームに貢献していくかというところ。そこは次の代表(の課題)になるんだと思いますけど」

パリ五輪後に代表を一時休養することにした西田有志選手。さらなる成長を図るための決断でした。国際連盟のアスリート委員会のメンバーに選ばれた柳田将洋選手は代表選手の過密日程を課題としてとらえています。

自ら瀬戸際に立たせた

 西田はパリ五輪後、代表活動の一時休養を発表した。

 西田 「SVリーグは世界で…

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