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3月下旬に新設される自衛隊の統合作戦司令部をめぐり、政府はトップの「統合作戦司令官」に統合幕僚副長の南雲憲一郎・空将(59)を起用する方針を固めた。新司令官には、陸海空3自衛隊を一元的に指揮する大きな権限が付与される。3月にも閣議で正式に決まる方向だ。
- 新設の統合司令部、災害時も一元指揮 設置後想定し演習 対応の迅速化期待、指揮統制に課題も
複数の政府関係者が明らかにした。南雲氏は1989年に防衛大を卒業し、航空自衛隊に入隊した。航空幕僚監部防衛部長や西部航空方面隊司令官を経て、2023年3月から現職を務める。
新設の統合作戦司令部は、自衛隊の運用に関し、平時から有事に至るまで一元的に陸海空3部隊を指揮する。また、作戦にかかわる米軍との調整をより緊密に行う役割も担う。南雲氏は、制服組トップの吉田圭秀・統合幕僚長(陸将)を2年近く支えてきた経緯があり、南雲氏の起用で新司令部と統合幕僚監部との連携を強固にする狙いもある。
統合作戦司令部が新設されるのは、統合幕僚監部が軍事専門的見地から防衛相を補佐する幕僚機関としての任務に追われ、部隊運用の余力が少ないとの指摘があったためだ。政府は22年策定の安全保障関連3文書で「陸海空自衛隊の一元的な指揮を行い得る常設の統合司令部を創設する」と明記。3月24日に防衛省のある東京・市谷に統合作戦司令部を発足させる予定だ。
一方、日本側の動きに合わせ、米側は在日米軍を再編し、作戦指揮権を持たせる「統合軍司令部」を新設する方針で、組織体制の具体案を検討している。7日の日米首脳会談後の共同声明にも「自衛隊と米軍の指揮・統制枠組みの向上」を目指すことが盛り込まれた。
日米の指揮統制連携をめぐっては、自衛隊と米軍が一体的に運用された場合、有事における日本の指揮権の独立性の担保などが課題とされている。