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職員に相談しながら確定申告の手続きを進める市民ら=2024年2月、名古屋市中村区
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 税金と社会保険料の合計額が所得に占める割合「国民負担率」が、2024年度は45・1%になる見通しです。1970年度の24・3%に対して大幅に増えていますが、生活や将来に安心を感じられる社会になった、とは言いにくそうです。税法学者の三木義一さんと税理士の竹内陽一さんに理由を聞きました。

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 ――税金と社会保険料は何が異なるのですか。

 三木氏 税は一般的に個別の利益としては還元されない「無償性」を条件としています。これに対し社会保険料は、払った分だけ将来の利益につながることから「牽連(けんれん)性」があると言われ、建前で言えば区別されています。しかし実際は、社会保障費に税金が充てられるなど、まぜこぜになっています。

 ――一体化して徴収することは可能なのでしょうか?

 三木氏 理論上は可能です。オランダでは税金として社会保険料を徴収しています。税金はかつて主権者=王様が使うもの、という考えがありました。そこで、せめて自分たちの将来は自分たちで守りたい、という考えから社会保険の概念が生まれた。しかし、今、日本の主権者は国民です。分ける必要はなくなっているとも言えます。

 竹内氏 社会保険は将来的に還元があることを考えると、税とは分けて徴収したほうがいいのではと私は考えています。ただ、所管する省庁が現在、国税は財務省、地方税は総務省、社会保険料は厚生労働省と三つに分かれていて非常にわかりにくい。海外では歳入庁が一元的に管理している国もあります。日本も内閣府などに一本化させ、税収と社会保険料の現状をまとめて国民にわかりやすく説明する必要があると思います。

 ――税金や社会保険料を巡ってはいま、「年収の壁」が問題になっています。

朝日新聞が1月に実施したアンケート(https://www.asahi.com/opinion/forum/214/)では、負担することに抵抗を感じる税金として「消費税」を選ぶ人が最多でした。記事ではこの税目に対する「アレルギー」の理由に触れているほか、税金全般について読者の方々が日ごろから抱える思いを紹介します。

「壁」は制度設計のミス

 竹内氏 扶養を外れて国民年…

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