枝にそっくりのひょろりとした体を持つ昆虫「ナナフシモドキ」。一般的にはナナフシとも呼ばれるこの虫はほとんどがメスだが、ごくまれにオスが見つかることが知られてきた。「レアなオス」の意義は何か。基礎生物学研究所(愛知県岡崎市)などのチームがたどり着いた結論は「オスは不要かも」だった。

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ナナフシモドキのオス(下)とメス=基礎生物学研究所の野崎友成助教提供

 ナナフシモドキは日本で最もよくみられるナナフシの仲間で、基本的にはメスだけで卵を産んで増えることができる。ただ、国内では過去に数十例のオスの出現も報告されている。ナナフシでは性別が染色体の本数によって決まるため、「レアなオス」は何らかのエラーで染色体に異常が生じた結果、生まれてくるとみられている。

 チームは博物館やアマチュア研究者らの協力を得て、4年がかりで貴重なオス7匹を収集。外見や、生きている個体をメスと一緒に飼った場合の行動などを調べた。

 すると、他のナナフシの仲間にもみられるような生殖器や、それを使ってメスと交尾行動をする様子、オスがメスに受け渡す「精包」と呼ばれる物質が確認できた。

交尾後の卵を遺伝子解析

 ところが、7ペアの交尾後に…

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