東京都調布市のキャバクラからみかじめ料を脅し取ろうとしたとして、警視庁は、指定暴力団住吉会系組員の矢野将司こと細谷将司容疑者(31)=東京都稲城市=ら男女7人を恐喝未遂容疑で逮捕し、1日発表した。細谷容疑者は黙秘しているという。
調布署によると、細谷容疑者らは共謀の上、3月17日午前1時~午前2時半ごろ、調布市内のキャバクラで、店長の男性に「月6万円な。払わなければ嫌がらせするからな」などと金銭を脅し取ろうとした疑いがある。別の店員から110番通報があり、発覚した。
細谷容疑者らは客として来店し、テーブルをたたくなどしたという。来店は初めてで、周辺の店舗でみかじめ料を要求した様子もないという。店は3日前に新規開店したばかりで、署は同店を狙ったとみて調べている。
郊外でみかじめ要求、背景に「縄張り」争いか
捜査関係者によると、調布市内に暴力団事務所はない。ただ、暴力団がみかじめ料を要求する事件は、新宿や銀座などの繁華街だけではなく、郊外でも相次いでいる。
ある捜査幹部は、暴力団の縄張り争いが背景にあると指摘する。繁華街はすでに暴力団の縄張りが分かれており、調布市のように郊外を対象に狙う場合もあるという。「先につばをつけた者勝ち。新しい店舗ができれば、めざとく行って自分たちの縄張りにする」と話す。
2019年には都暴力団排除条例が改正され、計22の区市にある繁華街を暴力団排除の「特別強化地域」に指定し、みかじめ料を払う店側への罰則を厳しくした。赤坂や上野、八王子や町田まで幅広く指定されたが、調布は対象外だ。捜査幹部は「暴力団が強化地域外にも出て行っている可能性はある」と話す。(福冨旅史、三井新)