9月22日付朝日歌壇の入選歌40首をお届けします。選者は高野公彦さん、永田和宏さん、馬場あき子さん、佐佐木幸綱さんです。☆は共選作です。
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高野公彦選
来年は昭和百年 葉書代上がっても賀状出そうと思う(中津市)荒谷 みほ
父が居て母居て姉居て祖父母居て家族の証(あか)し母の短歌集(北広島市)前田 真志
嫁入りに持参の座布団敷き詰めて夫の初盆支度整う(豊橋市)加藤 裕子
天空に浮かびいるごと山小屋で毛布干してるわれは浮遊層(魚沼市)磯部 剛
来年は焼肉と目標を立てカフェでお祝い姉のバースデー(富山市)松田 わこ
一部屋に四人で眠る旅先の布団はいつもじゃんけんで決める(奈良市)山添 聖子
遺骨なき七十九年の空白よ戦死せし義父の墓じまいする(松戸市)遠山 絢子
増えてゐる熟年離婚を老妻に言へば一瞬顔の明るき(焼津市)増田謙一郎
塩撒きの千差万別の大相撲例へば小兵の大摑みあり(香取市)嶋田 武夫
窓際の席から君の傘見つけ手ぐしで前髪整える朝(奈良市)山添 葵
【評】一首目、架空の昭和百年を祝いたいという心意気。二首目、歌集の値打ちはこんなところにもある。三首目、新婚のころを思いつつ悲しみの儀式に臨む。四首目、高所の山小屋で毛布を干しつつ「浮遊層は富裕層」と連想を楽しむ作者。
永田和宏選
ドロンよりギャバンが俺は好…