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市況

 日本銀行の植田和男総裁は、21日の衆院予算委員会で「長期金利が急激に上昇するような例外的な状況では、機動的に国債買い入れの増額を実施する」と語った。連日上昇する長期金利を牽制(けんせい)したと受け止められ、21日の東京債券市場では、長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りは、発言が伝わると下落(債券価格は上昇)に転じた。

 日銀の追加利上げを警戒し、長期金利は上昇が続いていた。21日も朝から国債が売られ、市場が始まってまもなく長期金利は一時、前日より0.015%幅高い1.455%をつけた。2009年11月以来、約15年3カ月ぶりの高水準。

 その後、植田総裁が21日午前の衆院予算委で「市場における安定的な金利形成を促す」などと発言。立憲民主党の階猛議員の質問に答え、国債買い入れ増額の可能性に言及すると、午後に入り長期金利は一時1.405%まで下がった。

 市場では「米トランプ政権の政策により日本の景気に不透明感が漂うなか、総裁発言は早期利上げ観測の高まりを牽制した」(エコノミスト)との見方も出ている。

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