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教員時代の苦い経験から冷凍米粉パスタを開発した栫正人さん=2024年7月23日、愛知県東郷町、松永佳伸撮影

 小中学校の教員だった栫(かこい)正人さん(65)=愛知県東郷町春木台1丁目=が定年退職を機に起業し、小麦アレルギーの人が安心して食べられる冷凍米粉パスタを開発した。約1年半かけて素材にこだわったもちもち食感のパスタに仕上げた。教員時代の苦い経験が栫さんを商品化へと突き動かした。

 栫さんは県内の小中学校で35年間勤務した。2020年に定年退職し、起業や社員研修などを支援する会社「KAKOI」を立ち上げた。

「微量でも命に関わる」 感じた恐怖

 メニューの開発とは無縁だった栫さんは、教員時代に食物アレルギーで苦い思いをした。小学校では毎年、新学期が始まる4月に教員全員が食物アレルギーについて対応方法を学んでいた。

 それでも悲劇は起きた。6年前、卵アレルギーの児童が、卵を使った料理の配膳で使用されていたおたまで、別の料理のおかわりをしたことが原因で激しいアレルギー反応「アナフィラキシーショック」を発症。

 児童は自己注射薬エピペンを…

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