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帰国した久保田ちひろちゃん(中央)と、父親の将さん(右)と母親の祐香子さん(左)=名古屋市昭和区のドナルド・マクドナルド・ハウスなごや
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 「あの時、お空にいっちゃったお友達の分まで、わたしは生きなきゃいけない」。小学4年生の久保田ちひろさん(10)=埼玉県=はそんな思いで小児がんと向きあってきた。昨夏の再発後には、日本人で初めての治療を受けるため、イタリアに渡った。経過は順調だ。いま、ちひろさんのように治療を望む家族に「希望」をつなごうと、医師が動き始めた。

 ちひろさんは3歳の時、小児がんの一種の神経芽腫がわかった。右副腎の摘出手術、抗がん剤による治療、その後の自家造血幹細胞移植、放射線治療、再発予防のための治療……。2年間、名古屋大学病院(名大病院)などで神経芽腫に必要な治療を尽くして、5歳で退院した。

 だが4年が経とうとした昨夏、再発がわかった。全ての治療を尽くしており、「再発したら助からない」と言われていた。その夏は入院前にプール、海や川で楽しんだ。

 一筋の望みにかけ、両親の将さん(44)と祐香子さん(38)は情報収集。イタリアの病院が発表した新治療「GD2―CAR―T細胞療法」の論文を見つけた。

一つだった選択肢

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