東北地方で最古とされ、作家の太宰治が訪れたと伝わる喫茶店「土手の喫茶屋 万茶ン(まんちゃん)」(青森県弘前市)が5代目店主を募集している。応募は県外からでもOK。太宰ファンでなくても構わないという。昭和レトロな老舗に新風を吹き込む店主が現れるか。

「土手の珈琲屋 万茶ン」の店内。右上のシャンデリアは創業当時のものという=2024年5月16日午前11時31分、青森県弘前市土手町、江湖良二撮影

 「喫茶店で、葡萄(ぶどう)酒飲んでいるうちは、よかったのですが」(小説「津軽」)。旧制弘前高校(現弘前大)に通っていた太宰。当時を振り返る一節で登場する「喫茶店」が「万茶ン」とされる。3代目店主は創業者の祖父、香西資敏さんから「太宰は苦いのが苦手で、コーヒーをお湯で割って飲んでいた」と聞いたことがある。

 県観光パンフレット「太宰治と旅する津軽」が「弘前市のメインストリート・土手町から少し入ったかくみ小路にある万茶ンは、官立弘前高校時代の太宰らも通った」と紹介。小説「青い山脈」で知られる作家、石坂洋次郎や俳優の奈良岡朋子ら著名人も訪れたことがあり、太宰ファンにとって「聖地」だ。

写真・図版
「土手の珈琲屋 万茶ン」店内に残る作家・石坂洋次郎=右=や井上ひさし=中、弘前市にゆかりのある俳優、奈良岡朋子のサイン=2024年5月16日午前11時26分、青森県弘前市土手町、江湖良二撮影

 店名の由来は「『万』人の客…

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