インタビュー連載「電ゲン論」
「脱炭素社会」の実現が叫ばれるいま、あらためて「電気」をどうつくるべきなのかが問われています。原発の賛否をはじめ、議論は百出しています。各界の著名人にインタビューし、さまざまな立場から語ってもらいました。
〈日本の原子力・再エネ比率の変遷〉
日本全体の発電量に占める原子力の割合は、2010年度に25.1%を占めていましたが、11年の東京電力福島第一原発事故を受けて一時ゼロに。22年度も5.5%にとどまります。一方、再生可能エネルギーの割合は10年度の9.4%から22年度は21.7%に増えています。
原発か、再エネかの議論は「卒業」を
原発か、再生可能エネルギーか。日本のエネルギーの将来像を考えるとき、この二項対立に陥りがちです。しかし、エネルギー安全保障を専門とする笹川平和財団研究員の小林祐喜さんは、この議論から卒業しようと訴えます。
――今年7月に発表した論考で、原発か、再エネかの二項対立の議論をやめるよう提言しました。
主な理由は二つです。まず再エネは稼働率が極めて低い。太陽光で1~2割、風力は3割いくかどうかで安定しない。主力電源にするには、必要な時に電気を使えるよう、電気をためられる蓄電所を増やす努力が欠かせません。
もう一つの理由は、エネルギー安全保障の観点。太陽光は基幹部品のほとんどが中国製、風力タービンの世界シェアは6割近くが中国です。エネルギー資源を一つの国や地域に依存するのはよくない。発電中に一切二酸化炭素(CO2)が出ない原子力も一定の評価をせざるを得ないので、再エネと原子力で弱点を補い合いながら、将来的には再エネを増やしていくのがよいと考えます。
――原子力一辺倒でも、だめなんですね。
そうです。高速増殖原型炉も…