米国務省のパテル副報道官は12日、ウクライナ軍が越境作戦を展開するロシア南西部クルスク州で、北朝鮮兵がロシア側として戦闘を始めたと明らかにした。
米国が北朝鮮兵の戦闘参加を公に確認したのは初めて。パテル氏は会見で、ロシア軍が戦闘の継続のために北朝鮮に頼っているとして懸念を表明。1万人以上の北朝鮮兵がロシア東部に派遣されたとし、「その大部分がクルスク州に移動し、ロシア軍とともに戦闘を始めたことを確認できる」と述べた。
パテル氏は「ロシアが戦場で北朝鮮兵を投入して成功するかは、いかに自分たちの軍にうまく統合できるかにかかっている」とも指摘。言語の壁や指揮統制の統合といった課題があるとの見方を示した。
一方、米国防総省のライダー報道官は同日の会見で、北朝鮮兵の動きについて「何を意味するのか、注視している」と述べるにとどめ、北朝鮮兵の戦闘参加を確認することはしなかった。
ウクライナのゼレンスキー大統領は11日、ロシア軍がクルスク州に約5万人を動員し、交戦していると明らかにしていた。米紙ニューヨーク・タイムズはこれに先立つ10日、ロシア軍が北朝鮮兵を含む5万人をクルスク州に集め、大規模な反撃を準備していると報じている。米国務省、国防総省ともに、5万人という規模は確認できないとした。
ゼレンスキー氏は7日には、北朝鮮兵がロシア側で戦闘に加わり、犠牲者が出ていると明らかにしている。米国はかねて、ロシア軍が北朝鮮兵に砲撃や基本的な歩兵作戦の訓練を行ってきたと指摘している。(ワシントン=清宮涼)