栃木県の介護職員の需要に対する供給見込みの「充足率」が2026年度に都道府県別でワーストとなり、40年度は46位になることが、厚生労働省の推計で明らかになった。介護業界での人手不足は社会問題化しており、栃木県は全国的にみても深刻な状況だとデータが示している。
3年ごとの介護保険の見直しに合わせ、必要と見込まれるサービス量から各都道府県が推計したものを、同省が7月12日に公表した。
推計によると、栃木県で26年度に必要な介護職員は3万5271人。現状のまま推移すると、8075人足りなくなる。充足率は77.1%で、全国で唯一、8割を割った。3年前の推計では25年度も全国最下位だったが、26年度はこれからさらに8.6ポイント下がった。
40年度は、65歳以上の高齢者数がほぼピークになると予測されており、介護職員は全国で約57万人不足し、充足率は77・4%になる。栃木県で必要な介護職員は3万9664人で、現状のまま推移すると、1万4700人足りなくなる。充足率は62.9%で、3年前の推計より約10ポイント低くなった。全国順位は最下位の北海道(56.6%)に次いで低く、3年前の推計の35位から下落した。
栃木県では、23年度に介護分野の「特定技能外国人」と事業者を結ぶマッチング事業を始めるなど、対策を進めている。今回の推計の分析はこれからだといい、県高齢対策課の担当者は「他県で効果的な事業があれば、参考にしていきたい」と話す。
一方、県老人福祉施設協議会の大山知子会長は「介護職員は不足しているが、緊急的な状況に陥っている、というほどの危機感はない」としたうえで、「全国ワーストになっているので、どこに力を入れれば効果的な打開策が生まれるのか、行政としっかり協議をしていかないといけない」と述べた。(由利英明)