世界レベルの先進的かつ本格的な国際臨空都市の実現――開港20年を迎えた中部空港(愛知県常滑市)そばに広がる「空港の街」はそんな目標を掲げて開発が進められた。ただ、次世代産業の拠点に位置づけたエリアは雑草が生い茂り、9割以上で空き地が広がるなど苦戦続き。求めた浮上策は現実路線への転換だった。

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「中部臨空都市」は中部空港島と対岸部にまたがる。一部が空き地のままだ=2024年12月20日、愛知県常滑市、朝日新聞社機から、長島一浩撮影

 空港島には物流施設やホテル、航空宇宙産業の製造工場を、そして橋でつながる対岸部にはグローバル企業や次世代産業の研究開発拠点などを呼び込む――。

 愛知県企業庁が埋め立て造成した「中部臨空都市」(約230ヘクタール)は、2005年の中部空港開港に向けて街びらきをした。総事業費は約1900億円。愛知万博の開催や好調な自動車産業など「元気な名古屋」と評された地域経済が計画の追い風となるはずだった。

 ところが、土地の買い手がなかなか見つからない。対岸部では空港開港から7年が経過した時点で、9割以上の土地が空き地のまま。リーマン・ショックによる景気の悪化が響き、計画は絵に描いた餅になっていた。

進出の波、その決め手は…

 転機は2010年代半ばにやってきた。

 雑草が生い茂るばかりだった…

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