トランプ次期政権で科学技術政策はどう変わるのか。これまでのトランプ氏の言動から、現政権からの大きな方針転換は、AI(人工知能)や宇宙、医療政策など多岐にわたりそうだ。日本のイノベーション投資も影響を避けられない。

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2024年11月19日、テキサス州で、米宇宙企業スペースXの打ち上げ試験を創業者のイーロン・マスク氏(右)と見守るトランプ次期大統領=ロイター

 2017年からの第1次トランプ政権を振り返ると科学者や専門家の意見を軽視する傾向があった。

1期目には

 政権発足後1年半にわたり、政府全体の科学政策予算を決めるホワイトハウスの科学技術政策局(OSTP)のトップは不在のまま。

 新型コロナウイルスのパンデミック時には、保健当局の意見を軽視し、経済活動を優先。自身が感染した際にも、未承認薬の投与を受けた。地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」や世界保健機関(WHO)などからの一方的な脱退の動きもあった。

 大統領が予算編成方針を示す「予算教書」で、環境保護局(EPA)や、医学分野の研究拠点、国立衛生研究所(NIH)の予算を大幅に削減した。EPAのウェブサイトから気候変動の記述を削除するという問題も起きた。

AI規制は緩和へ

 1月に第2次トランプ政権が発足後、すぐに着手しそうなのがAI規制の緩和だ。バイデン政権は昨年10月、AIに本格的な規制をかける初めての大統領令を出した。

 大統領令では、安全保障に重大なリスクをもたらしうるAIは外部評価を受け、政府に結果を共有することを義務づけた。また、AIが生成した虚偽情報を見抜くための仕組みを導入するよう促す指針を作ることを柱にしている。

 トランプ氏はこの大統領令を…

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