2025年春夏シーズンのロンドン・ファッションウィーク(LFW)が9月に開催された。パリやミラノに比べて、LFWは若手や新進デザイナーが次々と才能を開花させる場でもある。

 LFW期間中にサステイナビリティー(持続可能性)に力を入れている若手を表彰する「クイーン・エリザベスⅡアワード」の受賞者となったのはSSデイリーのデザイナー、スティーブン・ストッキー・デイリーだった。22年に若手デザイナーの世界的登竜門「LVMHプライズ」を制した実力派だ。メンズウェアからスタートした彼だが、今回はレディースのみのショーを開催。ブランドに出資している歌手ハリー・スタイルズが着席するとショーが始まった。

 タイトなスーツや、ブランドの代名詞といえるクラフト的な造形の完成度は高かった。一方で、どの程度肌を露出させればいいのか迷っているようなデザインの服も多く、女性服の提案として明確なメッセージが伝わってはこなかった。

 「見せたければ、もっと見せればいい」。マイクロミニ丈のボトムスなどが大々的に支持される今、女性服の現在のトレンドはそうしたスタンスなのだ。1年ぶりにLFWに参加したネンシ・ドジャカは、ショーを前にカルバン・クライン(CK)とのコラボレーション商品が世界同時に発売された。これまでにない細いラインのCKアンダーウェア。ランジェリーの要素をモダンに取り込んだ露出度の高いドレスで、流行を書き換えた女性デザイナーに白羽の矢が立ったのは必然だった。25年春夏コレクションでは細やかなドレープ使いや、小さなラッフルによって神話に出現するようなドレスを作り上げた。

 2000年前後に流行したY…

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