アニメ「ワンピース」の主人公ルフィや、「ドラゴンボール」シリーズのクリリンなどの声優をしながら舞台に立っています。主宰する劇団「おっ、ぺれった」や客演の芝居あり、チャリティーのコントあり。舞台の稽古が1カ月に及ぶこともよくある。年間7本に出演したら、稽古につぐ稽古で「一年中けい子」って、呼び名がついたくらいです。
声優の仕事で忙しい日々を過ごしているのに舞台を続けているのは、好きだからです。アニメはキャラクターが口を閉じているときに声をあてられない。洋画の声の出演も同じで、自分の芝居ではないのです。息をつぐタイミングなども全部決められている中で、リアリティーを吹き込むのが声優です。でも、自分の演技を求めると、やっぱり舞台に出たくなっちゃいますね。自分の言葉や呼吸で表現できるから朗読劇やラジオ番組のパーソナリティーの仕事は楽しいです。
おしゃべり好きな子どもでした。朗読など声を使うことが好きで、中学、高校と演劇部に入り、歌やバレエ、アナウンス教室などに通いました。演劇の世界に憧れ、俳優になりたい一心で劇団のオーディションを受けても、ことごとく落ちました。「もう一切、人生には何も期待しないようにしよう」って、日記に書いていたんですよ。若き日の私は、暗い人間でした。
インタビューの後半では、NHKの連続テレビ小説「虎に翼」に出演した田中さんが、主人公の猪爪寅子を演じた伊藤沙莉さんとの掛け合いシーンをめぐる一幕について振り返ります。
異例だった声優への道
1977年に転機が訪れまし…