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大阪高裁へ向かう赤木雅子さんの代理人弁護士ら=2024年10月18日午後2時15分、大阪市北区、山本逸生撮影

 学校法人森友学園への国有地売却を巡る財務省の公文書改ざん問題で、改ざんを強いられて自死した近畿財務局職員・赤木俊夫さん(当時54)の妻雅子さん(53)が、存否も明かさず関連文書の開示を拒んだ国に不開示決定の取り消しを求めた訴訟の控訴審が18日、大阪高裁(牧賢二裁判長)で結審した。判決は来年1月30日に言い渡される。

 雅子さんは2021年に同省と同局が検察庁に任意提出した文書の開示を求めたが、「捜査への支障」を理由に不開示とされ、提訴した。有識者らでつくる総務省の情報公開・個人情報保護審査会が今年3月、「存否を答えても捜査に支障はない」と決定を取り消すよう答申したが、同省は5月、再び存否を明かさずに不開示とした。

 控訴審で雅子さん側は、情報公開法が施行された01年度から22年度までの審査会の答申約1万5千件で、行政機関が従わなかったのは24件だけだと指摘。その一部も開示範囲を広げるなどしたといい、「答申を無視する対応は極めて異例。審査会制度をないがしろにしている」と批判した。

 国側は「答申自体が誤っている。財務省の判断に裁量権逸脱の違法があったとする根拠にはなり得ない」と反論した。

 一審・大阪地裁は昨年9月、存否が明らかになれば検察の捜査手法や捜査対象の範囲が推測される恐れがあるという国側の主張を是認。「将来起こる同種事件で罪証隠滅が容易になる可能性がある」として請求を棄却し、雅子さん側が控訴していた。(山本逸生)

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