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飼い主の緊張は猫に伝わる。だから診察室は「できるだけ病院っぽくしたくなかった」と服部幸さんは言う。猫に特化することで、猫のためにできることが増える=東京都江東区、工藤隆太郎撮影
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東京猫医療センター院長・服部幸さん

 平日の午前中というのに、猫を入れたキャリーケースを大事に抱えた飼い主が途切れることなくやってくる。都営地下鉄・森下駅(東京都江東区)のほど近く、下町情緒を残す町の一角に立つ「東京猫医療センター」。関東近県はもちろん東北や九州からも、猫とその飼い主が訪ねてくる猫専門病院だ。

 内装や家具は茶系で統一され、照明は控えめ。大きくとられた窓から自然光がそそぐ。来院直後には鳴いていた猫も、すぐに落ち着く。これほど静かな動物病院の待合室はめったにない。診察室は2階、手術室は3階にわけて配置されている。

 「ほかの猫の緊張した声が聞こえないようにしています。ストレスをかけないために、徹底しました。猫に特化した病院だからここまでできます」

犬と猫は全く違う動物「猫には猫の獣医療を」

 猫の幸せと健康をとことん考えた結果、猫専門病院をつくるに至った。最初のきっかけは北里大学獣医畜産学部(現・獣医学部)に在学中、毛糸玉みたいに小さな野良猫の子を保護したことだった。

 母猫に見捨てられたのかぽつんと1匹、取り残されていた子猫。「うにゃ」と名づけて共に暮らし始めた。「初めて自分で飼った動物が猫でした。それが仮に犬だったら、たぶんいまの道を進んでいません」と振り返る。

 卒業後は2年半ほど、犬も猫…

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