地域社会の発展を目的とする信用金庫によるM&A(合併・買収)の仲介で、結果的に中小企業が「悪質な買い手」を紹介されて倒産する事例が判明した。どこに問題があったのか。浜松いわた信用金庫でM&A支援の現場に18年も携わった「異色の経歴」を持つ島津一暁さん(51)が、自身の体験も踏まえて語る。

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地域承継&パートナーズの島津一暁社長

 ――昨年末まで18年もM&Aの担当部署にいたそうですね。

 「入庫して28年。本店では事業承継とM&A業務一筋で働いた。昨年末に退職して独立したが、今も古巣の提携先として業務支援をしたり、他の信金の体制整備を手伝ったりしている」

9割のM&A案件は取引先同士

 ――浜松信金にM&Aの担当部署ができたのは2005年ですね。

 「団塊世代の経営者が60歳…

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