横浜市中区の寿地区。「日雇い労働者の街」だったこの場所で、45年前から開かれてきた野外コンサートがある。今年は8月14日の開催に向け、初めてクラウドファンディング(CF)で資金の一部を募っている。
1979年夏、東京・山谷、大阪・釜ケ崎と並ぶ日本三大寄せ場の一つとされる寿町。
「それはもう、ものすごい盛り上がりでした。日雇い労働者とジーンズ姿の若者が肩を組んで踊っていたんです」
「寿町フリーコンサート」の運営に初回から携わる実行委員の金子祐三さん(76)は当時の熱狂をそう振り返る。
きっかけは、あるミュージシャンの訪問だった。
住民の学習の場として設けられていた「寿夜間学校」に、知り合いのつてで喜納昌吉さんが訪れ、曲を披露した。職員や生徒は感激し、「こんな素晴らしい歌手のコンサートを寿町で開いてみたい」と考えた。
夜間学校を運営していた、「野本三吉」のペンネームで知られる加藤彰彦さんらが、音楽好きの住民らに協力を呼びかけ、喜納昌吉&チャンプルーズら4組を招いて、コンサートを開いた。住民の多くは出演者のことを知らなかったが、寿町の外からやってきた若者たちと一緒になって、音楽に没入したという。
「福祉の街」に若者を
第1回の成功を受け、コンサ…