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国立大学病院の今年度の収支見込みについて説明する国立大学病院長会議会長の大鳥精司・千葉大病院長(左)=2024年10月4日、東京都内

 国立大学病院長会議は4日、全国に42ある国立大学病院の2024年度の収支が、全体で235億円の赤字になる見込みだと公表した。同会議会長の大鳥精司・千葉大学病院長は「今のままでは、大学病院は縮小しかない。地域医療を捨てるのか、高度医療を捨てるのか。その県の医療が崩壊するかもしれない」と訴えた。

 同会議の調査によると、42国立大学病院のうち、32病院が赤字となる見込み。23年度は決算の速報値で全体で60億円の赤字だったが、24年度はさらに経営状況は厳しく、現時点で235億円に膨らむ見込みだという。

 その原因は、医療費や光熱費、人件費などの増加だ。とくに、人件費は「医師の働き方改革」によって、残業時間を正確に把握することになり、相応の残業代を支払うことになった。

 給与のベースアップ評価料など、今年度の診療報酬改定による増収は108億円になる見込みだが、人事院が、国家公務員の給与について、行政職の平均年収で3・4%の引き上げを勧告したため、国立大学病院でも人件費が343億円の増加になるという。

 少しでももうけを出そうと、15病院では、連休中に営業したり、連休中の営業を検討したりしているという。そのうち10病院では手術を実施予定で、例えば、土曜、日曜、月曜の3連休の最終日に手術を入れて、収入を増やそうとするが、もうけは少ないという。

 手術をするためには、外科医…

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