写真・図版
漫画家・作家の細川貂々さん

 昨年9月末、宝塚歌劇団の宙(そら)組に所属する劇団員の女性(当時25)が公演期間中に亡くなった。公演は中止され、歌劇団は今年3月、過重労働や先輩劇団員らによるパワーハラスメントを認めて遺族に謝罪した。宙組公演は6月に再開されたが、再発防止のための組織改革はまだ続いている。

 宝塚ファンになって13年前に兵庫県宝塚市に移住した漫画家・作家の細川貂々(てんてん)さんに、この1年の思いを聞いた。

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 タカラジェンヌが亡くなったと知った時、「私に何かできなかったのか」とファンとしての責任を感じました。劇団内の人間関係が厳しそうとか、競争が大変そうとかファンの間でも話題になっていたのに、見過ごしていたからです。あの華やかなタカラヅカの世界だから仕方ないのだろうと。

 「おかしい」と声をあげられない空気が、劇団員を追いつめたのではと思ったんです。

 ファンは同じ公演を何度も見に行ったり、応援する生徒(劇団員)が出世するようにグッズをたくさん買ったり。どんなことがあってもチケットは売れていく。それでは歌劇団の思うつぼのように感じました。

 私はそれまですべての組の公演を見に行っていましたが、それ以来、無理にチケットをとるのはやめました。そして、作家として何かできないかと考えました。

 今夏、「どうして死んじゃう…

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