安倍晋三元首相の言葉が今となっては空しく響く。
自民党と公明党の連立政権発足から20年の節目となった2019年秋。安倍氏は新元号「令和」の英訳に引っかけて、自公関係についてこう評した。「お互いの良さを生かし、補完しあって、まさにビューティフルハーモニーだ」
09年に下野した両党。公明党内の一部には、与党になった旧民主党との連携を模索する動きもあった。しかし、最終的には再び手を携え、政権奪還を実現した。安倍氏は公明党とともに野党転落を経験したことを「まさに風雪に耐えた連立政権だ」と表現し、自公関係の絆の強さをたびたび口にした。
「保守政治家」を自任し、改憲に執心した安倍氏は「公明党とはそりが合わない」とも言われたが、議員との関係は別だった。太田昭宏前代表や初当選同期の赤羽一嘉幹事長代行との関係は特に深かった。支持母体である創価学会にも気を使い、「安倍さんは地方選挙でも、勝利したお礼を学会幹部に伝えていた」(公明党関係者)という話を聞いた。
安倍氏の言葉から4年半余り。後半国会の最大の焦点である派閥の裏金事件を受けた政治資金規正法の改正をめぐる与党協議で耳にするのは不協和音ばかり。ビューティフルハーモニーを奏でるにはほど遠い。
政策活動費とパーティー券購…