6日、ミャンマーで行われた2026年サッカーワールドカップ(W杯)アジア2次予選で、日本代表に0―5で敗れたミャンマー代表。国内では紛争などの長期化で閉塞(へいそく)した空気が漂うが、試合には2万人を超える観客が来場した。
会場は最大都市ヤンゴンにあるトゥウンナ・スタジアム。周辺を治安部隊が警備する厳戒態勢の下、当日券の販売窓口には試合の3時間前から行列ができていた。
21年、ミャンマーでは国軍がクーデターで権力を掌握した。その後、国軍への抵抗を理由に、あらゆる娯楽に「自粛ムード」が市民の間で広まった。旅行やライブイベント、外食。国民的スポーツのサッカーも例外ではなく、代表チームへの応援も控える雰囲気が醸成された。
実際、試合の数日前、街のサッカーファンから「ミャンマー代表の試合は見ない」という声を複数聞いていた。
サッカー好きのミャンマー国民にとって、日本代表戦は特別な試合でした。窮屈な社会での暮らしを余儀なくされる人々は、何を思って大歓声を送るのか。記者がスタジアムで取材しました。
そうした空気のなかで、スタジアムに訪れたのはなぜか。試合前の会場でサポーターに尋ねた。
友人と週3日練習するほどのサッカー好きという学生のミンさん(22)は、「政治は政治、サッカーはサッカーだと思う」と話した。「思い切りミャンマー代表を応援したい」
一方、ミャンマー代表の応援よりも、世界トップレベルでプレーする日本代表選手を見るのを目的に訪れた人も多かった。
船員のトゥインさん(26)はイングランド・プレミアリーグで活躍する三笘薫選手のファンだが、三笘選手は今回ケガで不参加。「残念だけど、他の日本選手も一流だから楽しみ」と話した。
スタンドは徐々に埋まった。選手が入場した後、国歌斉唱があった。サポーターたちは歌うのか。観客席を見守った。
覆された予想
ミャンマー国歌が流れると…