パレスチナ自治区ガザの北部ガザ市で2024年7月12日、イスラエル軍による攻撃を受け損壊した国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の本部=ロイター

 イスラエル国会は28日、パレスチナ難民への人道支援を担う国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の国内での活動を禁止する法案を賛成多数で可決した。90日以内に発効するという。イスラエル軍の攻撃が続くパレスチナ自治区ガザなどでの支援に大きな影響が出ることが懸念されている。

 地元紙ハアレツなどによると、法案はイスラエルでのUNRWAの活動と、イスラエル当局がUNRWAと接触することを禁止する内容。パレスチナ自治区や東エルサレムはイスラエルが占領しており、活動にはイスラエル側の許可が必要なことから、人道支援物資の配布や医療活動などが大幅に制限される恐れがある。

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 UNRWAをめぐり、イスラエルは昨年10月に起きたイスラム組織ハマスによるイスラエルへの越境攻撃に、UNRWAの一部職員が関わっていたと反発。さらに、ハマスがガザ内部のUNRWA施設を使用しているとして、イスラエル軍は攻撃を繰り返してきた。

 法案可決を受け、ネタニヤフ首相は28日、UNRWAは「イスラエルへのテロ活動」に関与した責任を取る必要があると主張。UNRWAのラザリーニ事務局長は声明で「法案はパレスチナ人の苦しみを増大させ、(パレスチナ人への)集団的懲罰に他ならない」と批判。国連のグテーレス事務総長は、UNRWAは国連総会から任命されている活動が継続できなくなる可能性が高いとし、「この問題を国連総会に提起する」との意向を示した。

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