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国スポ準決勝で九回に同点適時打を放った明徳義塾の山畑真南斗=2024年10月8日、さがみどりの森、大坂尚子撮影
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 夏の甲子園が終わってから、心身ともに一回りも二回りも成長した。明徳義塾(高知)の山畑真南斗(3年)のことだ。9日に決勝があった国民スポーツ大会(国スポ)では、2番遊撃手として攻守で引っ張り、チームを10年ぶり2度目の優勝に導いた。

 この大会で特に目を見張ったのは打撃だ。165センチと小柄な右打者は、コンパクトながら低く強いスイングで、計3試合で9打数4安打2打点。「元々打撃は得意じゃないけれど、良いところで打てて、出塁ができた」と振り返った。

 明徳義塾では不動の遊撃手。ただ、甲子園後に高校日本代表として戦った台湾でのU18(18歳以下)アジア選手権では、控えから始まった。守備固めが主な役割だった。

 試合中にベンチにいる時間は長い。だからこそ、明徳義塾の馬淵史郎監督から「ベンチの役割をしっかり」と言われた通りの行動を実践した。

 明徳義塾にいるときに、自分が控え選手にやってもらってうれしかったことをやろうと考えた。攻撃から戻った選手に飲み物やグラブを持っていくなど裏方に徹した。出番が少なくとも、前向きだった。

 1次リーグ3試合は全て途中出場ながら、3打席で2打数1安打2打点。2次リーグからは三塁で先発出場を続けた。アジア選手権では打率5割(8打数4安打)2打点、4盗塁の活躍で、日本代表の準優勝に貢献した。

 ライバルである韓国や台湾の150キロ前後の速球派投手に振り負けなかったことで打撃への苦手意識はなくなった。馬淵監督も「自信をつけたよね」と変化を感じていた。

 高校野球生活最後となる国スポで優勝という有終の美を飾り、「最高です!」と喜んだ。

 明徳義塾の1学年先輩の寺地隆成は昨年のU18ワールドカップで1番打者として世界一に貢献し、ドラフト5位で千葉ロッテに入団した。今季はイースタン・リーグ2位の打率を残し、10月3日に1軍デビュー。初打席で二塁打を放った。

 身近な人の活躍に「自分も頑張らないと」と刺激を受けた。ただ、山畑自身はプロ志望届は出さず、大学に進学するつもりだ。

 「代表や国スポでの経験は大きかった。打率も残せて、走れて、守れる選手を目指したい」

 俊足堅守の選手から、走攻守3拍子そろった選手へ、そして大学で更なる成長へ――。4年後のプロ入りを目指して、もっと大きな選手になるつもりだ。(大坂尚子)

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