デジタル利用と幸福感への影響度

 ソーシャルメディア(SNS)などのオンライン上のコミュニケーションは、精神面にどんな影響を与えるのか。日常のデジタル利用と精神的な健康状態を分析した研究の結果を、理化学研究所が発表した。

 近年、スマートフォンやSNSの利用時間が延び、若者のメンタルヘルスに悪影響があるとして、世界的に規制の動きがある。

 理化学研究所などの研究チームは、SNSをはじめとするデジタル利用の後にどのような心理的影響があるのかを明らかにしようと、「経験サンプリング法」という手法を用いて調べた。

 研究に参加したのは、19~30歳の日本の男女418人。21日間にわたり、オンラインのフォームから毎日のデジタル利用や精神状態を記録してもらった。

 SNSやゲーム、動画などのデジタル利用時間と内容▽その日にあったコミュニケーションの種類(オンラインか対面か、一対一か一対多か)と時間▽そのときの幸福感や孤独感の程度――などが記録された。

 分析の結果、コミュニケーションの種類によって、精神的健康への影響が異なっていた。SNSでのメッセージのやりとりなど「一対一」のオンラインコミュニケーションは幸福感を高めていた。一方で、SNSの閲覧など「一対多」のオンラインコミュニケーションは、孤独感の増加との関連がやや弱いながらも示された。

 対面でのコミュニケーションは、幸福感に最も強い影響があり、「一対一」のオンラインコミュニケーションに比べて5倍以上の効果があった。

 また、「一対多」のオンラインコミュニケーションによる精神面への影響は女性で特に強かった。

 さらに研究チームは、それぞれのコミュニケーションの関係性についても調べた。その結果、スマホ使用や「一対多」のオンラインコミュニケーションの時間が増え、対面コミュニケーションの時間が少なくなった場合に孤独感が強まるという、間接的な効果が大きいこともわかった。

 理化学研究所・社会価値意思…

共有
Exit mobile version