追徴課税を受けた「大黒屋」(東京都港区)のホームページ

 ブランド品の買い取り販売店を全国展開する「大黒屋」(東京都港区)が、訪日客向けの免税販売をめぐって東京国税局の税務調査を受け、消費税を追徴課税されていたことが関係者への取材でわかった。一部の店舗の従業員と外部業者が結託し、国内での転売目的で、ブランド品をSNSで募った「買い子」に免税価格で購入させていたという。悪質性が高いとして、販売した店側に重加算税が課された模様だ。

 関係者によると、追徴額は2023年3月期までの2年間の消費税計約2億3千万円。

 消費税は国内で売買された商品にかかる。訪日客が商品を国外に持ち帰る場合は輸出の扱いとなり免税され、販売店が、客にパスポートなどの本人確認書類を提示させ、必ず国外に持ち出すよう告知することなどがルールだ。

 関係者によると、同社ではこの手続きが不十分で、別人名義の本人確認書類が使われた事例があり、国税局が過少申告加算税(本税額の10~15%)を追徴した。

 さらに、一部の店舗の従業員と結託した外部業者が、SNSで募集した中国人らを「買い子」にし、国内での転売目的でブランド品などを免税価格で買い集めさせていたことも判明。従業員と外部業者は、連絡を取り合い、買い子の来店タイミングなどを調整していた。組織的な転売が疑われるこうした免税販売分については、国税局は、悪質性が高いとして重加算税(同35%)を課した模様だ。

 従業員個人の不正が原因であっても、税務上は企業がペナルティーを受けることがある。大手業者に対する高額な重加算税の追徴は異例とみられる。

 同社は取材に、この従業員は国税局から指摘を受ける前に退職したとし、「指摘について見解の相違もあるが真摯(しんし)に検討し、修正申告した。本人確認の徹底などの再発防止策を実施している」とコメントした。

 同社は東証スタンダード上場の「大黒屋ホールディングス」系列で、ブランド品や貴金属類の買い取り販売を手がけ、東京、名古屋、大阪、福岡などで25店舗を展開している。2023年3月期の売上高は約124億円。「チケット大黒屋」を展開する「大黒屋」(千代田区)は同名の別会社。(花野雄太)

爆買い支えた免税販売、利便性の裏で

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