スマホ依存も、思春期の子どもたちには問題となっている

連載「子どもとSNS」

 ソーシャルメディア(SNS)は思春期の子どもたちのメンタルヘルスに悪影響を与えるとして、海外で厳しい目が向けられている。SNSの利用は、どのような影響を及ぼしうるのだろうか。精神科医で、国立精神・神経医療研究センター行動医学研究部の成田瑞室長に話を聞いた。

コミュニケーションや自己表現の場でありつつも、心身の異常や犯罪に巻き込まれるきっかけにもなるSNS。いま、世界の国々が子どもとSNSの適切な距離感を模索しています。現状と課題を連載で探ります。

 ――SNSと思春期のメンタルヘルスについて、今わかっていることは。

 海外では2018年くらいから、大規模な調査結果が出始めました。イギリスでは1万人、アメリカでは6500人ほどの子どもたちのSNSの利用時間とメンタルヘルスの関係性を調べた研究があります。いずれも利用時間が長い人ほど、抑うつなどメンタルヘルスの悪化を経験しやすいと結論づけています。

不適切なネット利用 日本の10代への調査で見えた傾向

 ――日本での研究は?

 日本にはこれまで、それほど大規模な追跡研究がありませんでした。

 私たちのチームで24年、約3200人のデータを使った追跡研究の結果を発表しました。東京都内に住む02~04年生まれの人たちを対象に、10歳、12歳、16歳時点のインターネットの使用状況や精神状態について調べたものです。結果から、いずれの年齢時でも、インターネットの不適切な利用がある人では、精神状態が悪化する傾向が見られました。

 例えば、12歳の時に不適切…

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