運休していたJR山口線の「SLやまぐち号」が5月3日、修理を終えて2年ぶりに定期運行を再開した。戦前に製造された車両だったこともあって資料が少なく、修理は難航。JR西日本は、鉄道の研究機関や溶接専門業者など外部の協力も得て、SLを復活させた。
SLやまぐち号は、新山口(山口市)―津和野(島根県津和野町)を約2時間かけて走る観光列車。「デゴイチ」の愛称で知られる蒸気機関車「D51形200号機」が多くのSLファンらを楽しませていたが、2022年5月、石炭や水を積んで後部に連結する炭水車の台車枠に亀裂が見つかった。
亀裂に気付いたのは、検査のために添乗していた梅小路運転区(京都市)の車両管理係。津和野駅で見つけ、即座に運休となった。台車は取り外されて、修理のために梅小路運転区にトラックで運び込まれた。
修理に携わった車両運転係の曽根正敏さん(44)は亀裂を初めて見たとき、「よく見つけたな」と驚いた。髪の毛のように細く、長さは30ミリ、深さは15ミリ。巻き上げられた砂や泥がつく下部の梁(はり)のような部分にあった。
D51形200号機が製造されたのは戦前の1938年。亀裂のあった箇所は荷重がかかる部分で、原因は経年劣化と考えられた。ただ、修理方法の選択に担当者は苦慮した。「溶接して補修するだけで十分か、判断できる資料や知見がなかった」と車両管理係の小部(おべ)竜一さん(30)は打ち明ける。
そこで相談したのは、鉄道に…