全国から約3千人が参加した日本PTA全国研究大会のようす=2024年8月23日、川崎市とどろきアリーナ、杉原里美撮影

 不透明な会計処理、流用や横領……。保護者と教職員が加入する任意団体のPTAで、お金の問題が相次いでいる。なぜ、保護者らが払った会費が不適切に使われてしまうのか。朝日新聞デジタルで連載「PTAとお金」を配信したところ、反響が寄せられた。

 「保険事業での収入を得ないP連もあると知ってほしい」というのは、静岡市PTA連絡協議会(市P連)の顧問を務める大石修さん(51)だ。

 全国組織や都道府県・市町村の組織から退会したPTAを中心に集まる「全国PTA連絡協議会」によると、PTAが案内する保険は主に2種類ある。

 一つは、PTA活動中のけがなどが補償される保険。PTAの会合時の事故なども条件次第で補償されるため、活動に必要と考えるP協も多く、一定の加入があるとみられる。

 もう一つが、日常生活の事故や個人賠償責任などが補償されるもの。一般的な損害保険などと類似するため、加入する人は前者に比べ少ないとみられる。ただ、いずれも団体保険で、保険料は割安だ。

 P協にとっては貴重な「収入源」でもある。窓口団体として保険料の徴収・納付事務などを行うことで、保険会社から「事務手数料」を得ている場合も多いからだ。

 だが、静岡市P連では、15年ほど前に手数料を廃止。その分、補償を手厚くしてきたという。年2回、保険代理店と協議し、加入率の増減や補償内容のアップデートなどを確認する特別委員会を設置している。事務費の人件費は、市からの補助金でまかなっている。

 大石さんは、「政令指定市のP連でも、手数料なしで運営できる。適正に税務処理などをしているなら、保険会社からのキックバックも悪くないと思うが、子どもたちに還元する方法や使い方が問題ではないか」と話す。

校舎の鍵開け PTAの仕事?

 中部地方のPTA関係者からは「朝、学校の門を開けたり校舎の鍵を開けたりする作業をPTAが担っているケースがある」という情報が寄せられた。

 この自治体の教育委員会によると、以前は、始業の約1時間前となる午前7時半ごろ、教員2人が毎日交代で学校の鍵開けを担当していた。だが、教員の負担を軽減するため、この学校では昨年度からPTAに業務委託する形をとったという。

 PTAは民間事業者に再委託しており、実際には外部の業者が朝の開門や解錠を担当している。

 学校からPTAへの委託には費用は発生していないが、関係者によると、外部業者にはPTAから委託費を支払っているという。この取り組みが始まる際にPTA総会で保護者に示された資料では、支出額は年間45万円程度と想定されていた。

 教委は「校舎清掃や窓ふきなど学校の施設管理業務の一部を外部に委託することは一般的。そのなかの一つという認識だ」とするが、関係者は「外部に委託するにしても、公費で学校が直接契約するべき仕事なのでは」と疑問を投げかける。

■PTA購入備品が学校のもの…

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